放浪フリーク

企業の末端オブ末端で働かされている28歳の見たもの聴いたものの記録だよ。今は育休中。令和生まれの娘がいるよ。

徒然なるままにレビューあれこれ

 たまにはライブレポ以外も書いてみようかと思いまして。最近読んだ本やら聴いた音楽やら思いつくまま書いていきます。

 

 まずはこちらの1冊から。

 

ちゃんちゃら (講談社文庫)

ちゃんちゃら (講談社文庫)

 

  『恋歌』で直木賞を受賞したことも記憶に新しい、女流時代作家・朝井まかてさんの作品です。江戸の庭師一家「植辰」の面々とそこで修行する「ちゃら」が、ひとくせもふたくせもある作庭の依頼に日々江戸中を駆け回り、ある日思いもよらない事件に巻き込まれていくというストーリー。私自身朝井さんの作品を読むのはこの『ちゃんちゃら』が初めてでしたが、なんとも小気味良い文体で読みやすく、爽やかな読後感に酔いしれました。時代小説を敬遠している人がいるとすれば、入り口にぴったりの1冊と自信を持って薦めます。庭仕事を「空仕事」というのが、なんとも粋だなあと。

 

ポケットに名言を 角川文庫クラシックス て 1-3

ポケットに名言を 角川文庫クラシックス て 1-3

 

  説明するまでもない、寺山修二さんの名著。「ポケットに名言を」と言ってみたり、「書を捨てよ、街へでよう」と言ってみたり天邪鬼な寺山さん自選の言葉たちがずらりと並びます。「名言集」というより「名言よせあつめ」というかんじ。序列もなく思いついたままに羅列したような投げっぱなし感が心地よい1冊。一晩で読破するも良し、パッと開いたページの言葉を楽しむのもまた一興。

 

  13組の音楽家たちがそれぞれの解釈で宇多田さんの歌を歌った1枚。井上陽水さんや吉井和哉さん等の男性陣からは、「宇多田ヒカルのうた」という素材を使って、どんな風に料理できるか?といった単なるカバーではない実験的な要素を感じました。大橋トリオさんのアレンジは持ち曲かと思うほど違和感がないですね。器用でいらっしゃる。一方浜崎あゆみさんやAIさん等女性陣は、原曲の雰囲気をある程度保ったアレンジ。加藤ミリヤさんに至っては本人かと思う程のそっくり具合で、どこまでサンプリングなのかと思ったくらいです(笑)。宇多田さんの影響をダイレクトに受けている世代でしょうし、それが彼女なりの解釈ということでしょう。全曲非常に興味深く聴かせていただきました。

 

今日はこのあたりで。