放浪フリーク

企業の末端オブ末端で働かされている28歳の見たもの聴いたものの記録だよ。今は育休中。令和生まれの娘がいるよ。

2014年超個人的楽曲大賞

 更新が長らく滞っておりました。

 先日行われたモーニング娘。’14の道重さん卒業公演についての記事を書いているところなのですが、色んな思いが溢れすぎてですね。いっこうに文章が纏まらなくてですね。そこであと1ヶ月で2014年も終わりということで、息抜きにこんな記事を。

 

 題して「2014年超個人的楽曲大賞」。今年発売された数々の楽曲の中から、私のアンテナに引っ掛かったものを紹介していくだけ!YouTubeも貼っちゃう!というお手軽な企画。

 それではいきなり大賞からどうぞ。

 

~大賞~

清 竜人25「Will♡You♡Marry♡Me?」

 アイドル批評でよく見かける「多幸感」というワードがぴったりはまるこの楽曲。あの「LOVEマシーン」を手掛けたダンス☆マンが編曲で参加しています。清くんとその6人の妻という設定を知った時はどうなるんだ??という感じでしたが、なんだなんだ、軽快なファンクで超楽しいじゃないか!と一瞬で虜になりました。1番のサビが終わっていったんクールダウンする所が個人的にはすごく好きですね。6人のガーリーな声と低く囁くような清くんの声の重なりが気持ちよくて。

 「痛いよ」とか歌っていた頃とはまるで別人じゃないか、と突っ込みたくなるほどの、彼の引き出しの多さにはただただ驚くばかりです。高音はあいかわらず絶品。


清 竜人25「WillYouMarryMe?」Music Video - YouTube

 

 ~MV賞~

でんぱ組.inc「サクラあっぱれーしょん」

 異色のアイドルでんぱ組.incからこの曲。撮影時間どれだけかかったのだろう…と考えてしまうくらい手のかかったMVで、早送りなどこまめな速度の変化や小道具が効果的で、見ていてとっても楽しいものに仕上がっていると思います。また、でんぱ組のみなさんは、ソロで抜かれた時の表情とか歌詞に合わせた歌い方とかが他アイドルと比べてもとっても上手いと思います。黄色のえいちゃんとミントグリーンのねむちゃんの「DEMPA」の歌い方の違いも面白いと思うし、アイドルらしい表情やしぐさに関しては、赤色のみりんちゃんが頭ひとつ抜けているような気がしますね。”ヲタク”な彼女たちだからこそ、埋もれないキャラづくりに長けているのかもしれません。


でんぱ組.inc「サクラあっぱれーしょん」MV - YouTube

 

~歌詞が素敵賞~

佐々木健太郎「STAY GOLD」

 アナログフィッシュ佐々木健太郎さんのソロアルバムからこの曲。ラジオから流れてきて単純に「いい曲だな」と思ってすぐに検索したのはいい思い出です。1番では青春の痛みを抱きしめ、2番では青春の光に手を振る。そうして大人になっていく、という決して明るい歌ではありませんが、歳を重ねていくこと、心は成長しないのに身体ばかり衰えていくこと、頑張っても叶わない夢もあること。それに気づいてしまっても、悲しみにくれることはない。という思いが込められているのかな、と思っています。「空飛ぶ広報室」というドラマに「なりたいものになれなくても、別のなにかになれる」というキャッチコピーがありました。この曲の解釈は色々だと思いますが、この宣伝文句をふと思い出しました。


佐々木健太郎(Analogfish)"STAY GOLD" (Official Music ...

 

~ナイスカバー賞~

中田裕二シルエット・ロマンス

 歌謡曲に魅せられた男・中田裕二さんによる、大橋純子さんの「シルエット・ロマンス」のカバー。サックス奏者の本間将人さんの編曲で、かなりジャジーでアダルトな雰囲気に仕上がっています。結構癖の強い歌い方をされる中田さんですが、こういう艶っぽい歌を感情をこめつつ品よく歌い上げることに関しては、今の若いシンガーで彼の右にでるものはいないのではないかと思います。中田さんは女言葉を歌うのも極度に似合うので、今後もカバーを積極的に続けるのであれば女性歌手の曲をどんどんカバーしてみてほしいです。


中田裕二 / シルエット・ロマンス(from Album 『SONG COMPOSITE』) - YouTube

KIRINJI TOUR 2014 @昭和女子大学人見記念講堂 ~ニコ生にて~

 11月15日、昭和女子大学人見記念講堂で行われたKIRINJIのライブツアーファイナルがニコニコ生放送にて生中継されました。先々週の名古屋のライブに参加しましたが、さらにのびのびと演奏を楽しんでいらっしゃるのがわかって、仕上げてきたな!という印象。音もクリアで良いし、定点カメラのおかげか会場にいるような気分で放送を楽しめました。いつか席のある会場でゆっくりとKIRINJIサウンドを楽しんでみたいです。

 ライブハウスではないというのが大きいのでしょうが、映像あり凝ったライティングありで演出に力が入っていましたね。PC上ではありますが、今ツアー2度目の参加。目立ったソロがあったこともあり、前回はコトリンゴさんのピアノや弓木ちゃんのギターに意識が行きがちでしたが、今回はリズム隊に釘付けになりました。2台のドラムのセッションは痺れたし、千ヶ崎さんのベースが想像以上に歌っていて本当に素敵でした。どっしり低音で支えつつも軽やかというか。

 この生放送の為にプレミアム会員に登録しても良いと断言できるほどの素晴らしいライブです(まわしものじゃないよ)。ブログは文字を綴るものなのに本末転倒ですが、今回は長々とは書きません。とにかく見てほしいので。

 


KIRINJIライブツアーファイナル生中継【 KIRINJI TOUR 2014 】@昭和女子大学人見記念講堂 - 2014/11/15 18:00開始 - ニコニコ生放送

 

やっぱり『嫉妬』はめちゃくちゃ格好良かった。

 

Berryz考 ~ゴールデン チャイナタウン編~

 今日はハロプロの最高傑作(だと思う)Berryz工房について。KIRINJI、GRAPEVINEときていきなりアイドルかよ?となるかもしれませんが、大好きなのです。苦手な方はここで回れ右してくださいね。

 

●永遠のブレイク寸前

 今や沢山のグループアイドルが存在し、様々なコンセプトや個性を打ち出して生き残りをかける時代。そんな中、1人の卒業を除いてはメンバーチェンジもなく、「10年」続いているグループがあるのです。華やかなルックスにサービス精神旺盛なトーク、ステージでの歌やダンスは他アイドルの追随を許さないほど。そこまでの実力を持ちながら、国民的アイドルの座に登りつめることはなかった7人組、それがBerryz工房です。

 ハロー!プロジェクトのお姉さんグループBerryz工房が、来年3月3日に武道館でラストコンサートを開催し、この日をもって無期限活動停止することが公式に発表されました。メンバーが結婚したり出産したりしても、ベリーズはずっと続いていくような気がしていたからこそ、今年8月の活動停止発表はショックが大きかったです。ファン歴が浅い私は知るのが遅すぎたという後悔の念から、今までを取り戻そうと必死で動画やCDやライブのDVDを漁りました。幸い10年という歳月のおかげで豊富なネタを遡ることができました。今は活動停止が寂しいというよりも、こんなに楽しませてもらってありがとう、3月までもそれぞれのその後も全力で応援したい、そんな清々しい気持ちです。でもやっぱり寂しいね。3月3日ライブビューイングしないかなあ。。。

 

●歌姫がサブに徹する贅沢

 さてここから本題です。10年続けばそれだけ楽曲も沢山あります。『普通、アイドル10年やってらんないでしょ!?』なんて、妙な説得力のある曲も。ベリーズがこれまでリリースした豊富な楽曲の中から、個人的にアイドルソングとして面白いなあと思った1曲について掘り下げてみたいと思います。選んだ楽曲はこちら。

 


Berryz工房 『ゴールデン チャイナタウン』(Berryz Kobo[Golden ChinaTown ...

 

 2013年6月19日リリースの『ゴールデン チャイナタウン/サヨナラ ウソツキの私』から『ゴールデン チャイナタウン』。作詞作曲はおなじみつんくさん、編曲は鈴木俊介さんがしていらっしゃいます。ちなみにハロプロの曲でいいなと思った曲の編曲者をみると鈴木俊介さんだった、ということがよくあります。最近だと『The摩天楼ショー』とかブラスアレンジの『五月雨美女がさ乱れる』とか。

 この曲の面白いところは、ベリーズの歌唱を支えている梨沙子ちゃんと雅ちゃんの2人が、サビまでソロを封印しコーラスに徹している点。この曲においてのセンター熊井ちゃんとももちを除き、後列メンにもほぼ均等に歌割りがあります。普段際立って歌割りの多い梨沙子ちゃんと雅ちゃんを「○○ちゃいな」要員にしてしまうなんて、何とも贅沢な楽曲。2人がメインで歌う『サヨナラ ウソツキの私』の裏で、こういう曲が成り立つのもベリーズの強みだと思います。

    ☆歌割りの詳細

  くまい…8回

  ももち…7回

  さき…4回

  ちなみ…3回

  まあさ…3回

  りさこ…3回

  みや…3回

 

●高身長センターで生まれる黄金比

 私にとってのグループアイドルの理想形として「奇数」であってほしいというのがあります。偶数が嫌いなわけではないのですが(スマイレージは勿論でんぱ組とかもすきです)、並んだ時センターが生まれる奇数の方が見栄えが格段にいいというのがその理由です。ベリーズもまた、奇数の7人グループ。歌割りの話でも書きましたが、『ゴールデンチャイナタウン』のセンターを務めるのは熊井ちゃんです。誰がセンターに来てもおかしくない程、個性があり華もある子が揃っているベリーズですが、176㎝の熊井ちゃんがセンターに来た時に漂うベリーズの無敵感、無双感は凄みがあります。センターにずば抜けた高身長の熊井ちゃんが来ることによって、他のメンバーの身長の凸凹が目立たなくなってシンメトリーに見える。「貴方のkissはエキセントリック」からの阿修羅ダンス(勝手に命名)は、高身長の熊井ちゃんを擁するベリーズならではだと思います。Dance shot ver.を貼ったのもここに注目してほしいがためでした。ももちをすっぽり隠すまあさちゃんもナイスファイトだと思います笑

 

●コンサートでの盛り上がり

 『ゴールデンチャイナタウン』を初めて聴いたときは、面白いけど少し単調だなあ、サビも弱いし地味な曲だなあという印象でした。世界進出を意識したシングルの中では、圧倒的に『cha cha SING』や『アジアン セレブレイション』の方がキャッチ―な作りになっていると思います。しかし夏のハロコンでこの曲を生で聴いて、この曲こんなに尖っててかっこよかったんだ…!と衝撃が走りました。間奏部分の声援の一体感と、楽曲からは想像もつかないような会場の盛り上がりには本当に驚いたのを覚えています。

 無邪気で可愛いだけではもうない、大人になったメンバーに似合った、少し憂いを帯びたようなこの楽曲。リリース時期的に「チャイナ」というワードはよくなかったんじゃないかという声も聞きますが、歌割りの斬新さとフォーメーションの美しいダンス、地味だけどじわじわハマるスルメな曲。おまけにコンサートで化けるとくれば、アイドルソングとして十分素敵じゃないか、と思うのです。

 

 

蛇足

このシングルで”綺麗なお姉さん感”を存分に発揮した後、次のシングル『ROCKエロティック』で圧倒的な男装をしてみせた熊井ちゃんの罪は重い。

 


Berryz工房 『ROCKエロティック』(Berryz Kobo[Erotic ROCK]) (MV ...

GRAPEVINE club circuit 2014 @名古屋ダイアモンドホール

 11月7日、名古屋ダイヤモンドホールで行われたGRAPEVINEのライブへ行ってきました!バインのライブを観るのは『愚かな者の語ること』リリース時のツアー以来。SPEEDSTAR RECORDSに移籍してからは初のライブになりました。

 平日ということもあってか18時開場の19時開演という遅めのスタート。仕事終わりでの参加だったのでありがたかったです。バインのライブはいつも後ろ(金やん側)でまったり観ているので、開演に間に合うようにゆっくり会場に向かったのですが、思いのほか空いていたので比較的前の方で観てみることに。バインのライブは少なくとも私が知っている限りではモッシュやダイブも無いし大丈夫でしょ!しかしこんなにステージ近いの初めてだなあ、とドキドキしながら待っていると、客席の照明が暗くなりメンバーがぞろぞろとステージへ。実はクラブ・サーキットは初めての参加でした。リリースツアーと違って、どのアルバムのどの曲を演ってくれるのか?新曲は聴けるのか?待ちに待った本編がスタートです。セットリストは以下の通り。

 

1 ふれていたい

2 想うということ

3 Good-bye my world

4 ぼくらなら

5 discord

6 KOL(新曲)

7 うわばみ

8 1977

9 YOROI

10 吹曝しのシェヴィ(新曲)

11 Neo Burlesque

12 ANATA  

13 片側一車線の夢

14 Empty song(新曲)

15 Metamorphose  

16 ONI

17 CORE

18 風の歌 

-アンコール-

19 南行き

20 指先  

21 放浪フリーク 

 

 まさかの「ふれていたい」始まりで会場の温度が上がっていくのがわかるようでした。バインのライブで腕を上げてる人って少ないように思いますがこの曲はよく上がっていました。それだけ人気がある曲ということでしょうか。ベストアルバム曲投票の時も上位30曲に入ってたしね。収録されなかったけどね。

 久しぶりのバインいいなあかっこいいなあ田中さんものすごい笑顔だなあwと思いながら観ているとふと違和感が。あれ、なにか違うぞ。おかしいぞと。金戸さんの自己主張強めのギターみたいなベースが面白いのでいつも左側で見るのですが、今回はいつもの金戸さんの位置にアニキこと西川さんが。どうやら移籍を機に?西川さんと金戸さんの立ち位置を変えているようです。おかげで今回のライブでは西川さんの切れ味のよい冴えたギターを目でも耳でも堪能できました。この人の弾くギターが魅力的であることが、GRAPEVINEGRAPEVINEたる所以だと、1ファンとして思います。

 田中さんが「普段聴けない曲沢山聴けたでしょ」とMCでおっしゃってましたが、本当にそうで、ライブで聴いたことのない曲、聴いてみたかった曲が次々聴けました。特に「Good-bye my world」は個人的に思い入れのある曲で、3曲目でいきなり聴けると思わず、うっかり泣き出すところでした。間奏の西川さんのソロでは鳥肌がたち、曲終盤の田中さんの切迫したような歌い方は、もうこのライブ終わるんじゃないかと錯覚しそうになる程でした。バインのライブはどの曲も音源の再現度が高くて毎度驚くのですが、年々深みを増していく田中さんの声で昔の曲を聴くとこれがとってもいいのです。「ぼくらなら」や「指先」といった季節に似合う曲でしんみりとしてみたり、「南行き」や「放浪フリーク」のカラッと渇いたサウンドに暑かった夏の日を思ったり。音源のみゃあみゃあいう感じも(褒めてますよ)好きなんですが、今の歌い方も曲と一緒に年齢を重ねているようでかっこいいなと思います。ちなみに「放浪フリーク」のあっけらかんとした中に悲しさがひとさじ混じる感じが改めていいなと思って、ブログのタイトルにしてみた次第です。

 新曲「Empty song」は、ディレイのかかったギターがかっこよくて近年稀にみる(笑)イントロの高揚感だと思いました。アルバムの1曲目に来そうな、ライブの1曲目に来そうな、掴みの1曲という感じ。飲酒も喫煙も全く制限せず、サビのあの高音をなんなく出せる田中さんは何者なのだろうとライブを見ながら何度か思いました。声量おばけというコメントを某動画サイトで見たことがありますがそれでしょうか。他2曲の新曲についてはどっちがどっちか忘れたので書くのはやめておきます。一方は今までにない歌い方だったのは確か。

 個々の演奏も歌も照明も全部含めて圧倒的だったのは「CORE」でした。後光がさすような、レーザービームのような(sweet home adabanaのDVDの「KINGDOME COME」みたいな)ライティングにスモーク。低い温度から1度しかないサビに向かって熱量を上げていく様は瞬きが惜しい程かっこよかったです。アウトロの長いセッションは、どの音を聴けばいいかわからないくらいの轟音で、でもそれが最高に気持ちよくて意識が何処かに連れて行かれそうになりました。いつかのライブで田中さんが「客席との一体感とかそういうバンドじゃないので寝るのもアリ」みたいなことを言っていましたが、バインのライブにいくと本当にいつも眠くなります。勿論良い意味で。身体に絶えず響いてくる音の波に身を委ねてしまいたくなるのです。結果ふらついて隣の人にぶつかったというオチがありますが(隣の人本当に本当にすみませんでした)。前にいたほぼ棒立ちで見ていた男の人が、この曲では身体を揺らしてたのがとても印象的でした。

 

 GRAPEVINEは高校生の頃に好きになって、お金が無くてライブに行けなくて、大学生になってアルバイトをして、色んなバンドのライブに行くようになっても、ずっと私を魅了してやまないバンド。流行りの若いバンドに入れ込んでも、アイドルのコンサートでサイリウムを振っても、結局ここへ帰ってくる自分がいます。ツアーグッズのポニーにニッパー(犬)が噛みついている?イラストには皮肉めいたものを感じてしまいましたが(笑)。それもバインらしさなのかなと。

 「また来るぜー今年中に会うことはないぜーアルバムほぼ出来てるぜー」と嬉しい知らせを残して颯爽と彼らは去っていきました。生きている以上は背負っているものはきっと沢山あるのだろうけど、それを感じさせない身軽さに今回も魅せられてしまうのでした。コンスタントに作品を発表してライブをしてくれることに感謝しつつ、新曲のリリースを楽しみに待つ秋の夜長。

 


GRAPEVINE - 「Empty song」 MUSIC VIDEO - YouTube

 

KIRINJI TOUR 2014 @名古屋CLUB QUATTRO

 はじめまして、人の子ですがshikanokoと名乗る者です。Instagramから来ていただいた方はこちらもよろしければどうぞ。さて、「エンタメを愛で斬りとばす文が読みたいっ」と友人に言われ数日。晴れてブログ開設と相成りました。

・聴いた音楽、観た映画、読んだ本の感想

・アイドル研究(ももクロハロプロ中心)

・ライブ、コンサートレポ

等等を中心に書いていきたいと思っています。仕事の愚痴とかうっかり垂れ流さないように気を付けたい笑

***

 11月6日、名古屋クラブクアトロで行われたKIRINJIのライブへ。兄弟時代含めKIRINJIのライブは初めての参加でした。年齢層は30代くらいの男女が多い印象。会社帰りのスーツのおじ様もいたりで、ジンジャーエールでしたが始まる前から大人な雰囲気に少し酔いそうに(笑)自分と同世代はあまりいなかったように思います。高樹さんたちKIRINJIメンバーがステージにあらわれると、待ってましたと言わんばかりの大歓声に震えました。とりあえずこのタイミングでコトリンゴさんと弓木ちゃんの可憐さに釘付けになっておいた。

 ライブの構成は新生KIRINJIとしての初のアルバム「11」から全曲、兄弟時代最後のアルバム「ten」から4曲、「BUOYANCY」から4曲、「SUPER VIEW」から2曲、「7-seven-」「For Beautiful Human Life」「Home Ground」からそれぞれ1曲ずつ。それから鈴木亜美さんへ提供した「それもきっとしあわせ」、バンドでスティールギターとスティールパンを担当してらっしゃる田村さん作曲の「Ripples」を加えた全26曲。2時間半を超えるボリュームにもかかわらず疲れどころか余裕すらみえるステージに圧倒されました。経験のなせる業でしょうかね。セットリストは以下の通り。

1 だれかさんとだれかさんが

2 夏の光

3 きもだめし  

4 温泉街のエトランジェ★

5 fugitive★

6 手影絵

7 虹を創ろう

8 バターのように

9 狐の嫁入り  

10 それもきっとしあわせ

11 黄金の舟  

12 雲呑ガール★

13 都市鉱山

14 onna darake!

15 シーサイド・シークェンス~人喰いマーメイドとの死闘篇

16 嫉妬★

17 ジャメヴ デジャヴ

18 ナイーヴな人々

19 もしもの時は  

20 進水式

―アンコール―

21 台風一過★

22 Ripples

23 クリスマスソングを何か

24 TREKKING SONG

25 絶交

26 心晴れ晴れ 

    星印は個人的に印象に残った曲。「温泉街のエトランジェ」と「台風一過」は好きでよく聴いている2曲だったのでライブで聴けたというだけで感激でした。エトランジェから「fugitive」のわずかな曲間、弓木ちゃんがギターをバイオリンに、高樹さんがアコギをエレキに持ち替えるタイミングが合わせたかのように同時で(合わせていたのやも)、流れる空気が一瞬にして変わったのが凄かったです。何かこう、殺伐としたよね。照明も真っ赤になったしね。

 「雲呑ガール」から「ジャメヴ デジャヴ」までの混沌タイム(勝手に命名)ではコトリンゴさん、弓木ちゃんのソロをはじめ、ミュージシャンが本気で遊ぶとこうなる、というのを目の当たりにできた気がしてお腹いっぱいになりました。せっかくのバンド体制、「the echo」なんかも是非聴いてみたいものです。

 個人的今回のライブのハイライト「嫉妬」はこんなにかっこいい曲だったっけ⁉︎と驚くくらいの出来でした。「だれかさんとだれかさんが」を聴いたとき、コーラスワークがとても凝っていて、次々重なる声の相性や声量のバランスがこんなにもいいバンドなんて稀有じゃないかと思ったほどですが、この曲に関しては男声と女声のオクターブのユニゾンが曲の低空飛行な感じをうまく演出していて、ただただかっこいいの一言。

 ライブ全体を通して思ったのは、想像以上にアグレッシブというか。上品な感じかと思いきや(下品なわけでは断じてないです)、いい意味で期待を裏切られました。次々楽器を持ち替えるわメインボーカルがくるくる変わるわで、それはアルバムを聴いた時点で分かってはいたけれども、実際目にするとバンドとしてかなり面白いことになっているな、という印象です。ソロでも活動しているコトリンゴさんがアコーディオンを弾く姿なんてKIRINJIのライブでしか見れないんじゃないかと。

 

 2013年夏、キリンジは泰行さんの脱退を経て、KIRINJIとして新たなスタートを切りました。兄弟時代のライブに一度も足を運ばなかったことを悔やむ気持ちも少し残しながら参加した今回のライブ。コトリンゴさんが高樹さんのことを「KIRINJI号に長年乗っている船長」と言い表す場面がありまして、高樹さんが「沈みかけだった船にみんなが乗ってくれて」みたいなことを話されていたのがすごく印象的でした。メインで歌っていた1人が抜けて5人増えるってものすごいことだと思うのですが、新たな船出は非常に軽やかで、これから始まるにぎやかな航海を予感させました。キリンジあってのKIRINJIではあるけど、キリンジ=KIRINJIではない。だから思う存分、新しい船で実験的なこともどんどんやってほしいと思います。すぐにでもまたライブが見たいと思う、最高に楽しい夜でした。

 

 拙い文章ですみません。ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございます。次の記事ではもう少し読みやすさを意識して書いてみたいと思います。ちなみに11月7日、ダイヤモンドホールで行われたGRAPEVINEのライブレポを書く予定です。

それではまた。


KIRINJI - 進水式 - YouTube