放浪フリーク

企業の末端オブ末端で働かされている28歳の見たもの聴いたものの記録だよ。今は育休中。令和生まれの娘がいるよ。

モーニング娘。'14 コンサートツアー秋 ~GIVE ME MORE LOVE~ 道重さゆみ卒業記念スペシャル ライブビューイング@109シネマズ名古屋 その②

その①のつづき

 13曲をノンストップで繋ぐ怒涛のメドレーのスタートは、鞘師ちゃん、えりぽん、あゆみんの3人による『シルバーの腕時計』から。メドレーの曲目をもう一度貼っておきます。

 

≪メドレー~卒コンスペシャルバージョン~≫

12. シルバーの腕時計(鞘師里保生田衣梨奈石田亜佑美
13. Help me!!(updated)
14. 恋愛レボリューション21(updated)
15. 恋愛ハンター(updated)
16. ラララのピピピ(道重さゆみ
17. A B C D E-cha E-chaしたい
18. ワクテカ Take a chance(updated)
19. ブレインストーミング(updated)
20. 好きだな君が(道重さゆみ譜久村聖
21. この地球の平和を本気で願ってるんだよ!
22. 青春コレクション鈴木香音飯窪春菜佐藤優樹工藤遥小田さくら
23. LOVEマシーン(updated)
24. Give me 愛

  

 『シルバーの腕時計』ではあゆみん、えりぽんのラップがすごく堂々として格好よくて、ガキさん愛佳ちゃんのしっとりしたラップとはまた違った魅力を感じました。あゆみんのラップは春ツアーの『HOW DO YOU LIKE JAPAN?』で覚醒した感があって、ラップパートを歌うことに自信がついたのが伝わってくるパフォーマンスでした。ガキさんに憧れているえりぽんもこの曲を歌えて嬉しかったことでしょう。えりぽんはダンスの上手いあゆみんと並んで踊ることにプレッシャーを感じていたらしく、ガキさんにどうしたら格好よく踊れるのか相談していたのだとか。「美しい思い出達なら」の部分のダンスで、えりぽんの手のしなやかさに目を奪われたものだから、後からこのエピソードを知ったときは感慨深いような、子の成長を喜ぶ親のような気持ちになりました(笑)。残りのメンバーも加わって、『Help me!!』『恋愛レボリューション21』『 恋愛ハンター』をupdated版で披露。9期の鞘師ちゃんフクちゃんがどんどん歌が上手くなっていって頼もしいなと思いながら見ていました。『Help me!!』のさくらちゃんは正直鳥肌が立ちました。元から歌が上手いのにどこまで伸びしろがあるのかと。楽しみなような怖いような。余談ですがこのメドレーの時の白黒チェックの衣装が、アイドルらしくてとても可愛いかったです。胸にエンブレムがついて少しスマイレージっぽいなと思いました。

 そしてこのあたりから道重さんに異変が起こり始めます。おそらくは『恋愛ハンター』と『ラララのピピピ』のつなぎの部分で(もしかするともっと前から)、道重さんが右足を攣ってしまったようなのです。あれ、道重さん踊らないのかな?と思いながらも、『LOVEマシーン』あたりまで異変に気付かず演出だと思っていた馬鹿なので、スカパー映像を確認した時、音楽を止められないということはなんて残酷だろうと思いました。動かない右足を引きずりながら後輩たちの前へ進む道重さん。一瞬痛そうな表情を見せるも、笑顔に切り替え歌い始める道重さん。ダンスは動かせる上半身だけ。それを心配しながらがむしゃらに踊る後輩たち…。明らかに動揺しているメンバーもいました。そりゃそうだ、リハーサルと違うんだもの。ずっと一緒に練習してきた後輩たちは、きっとすぐに異変に気付いたはずです。それでも始まってしまったメドレーは止められない。リーダーを支えるのは自分たちしかいない、覚悟を決めた後輩たちは、ついに次の曲『A B C D E-cha E-chaしたい』で覚醒します。

    飯窪さんを先頭にメインステージを勢い良く飛び出すと、センターステージへと移動し、歴代の娘。メンバーにも引けをとらない圧巻のパフォーマンスをしてみせました。メインステージに道重さんを1人残して。ここの迷いのない飯窪さんは本当に格好よかった。本来ならここで、道重さんもセンターステージへ行くはずだったのでしょう。よりによってこの日に。どうして。メンバー1人1人色んな思いがめぐったと思います。悔しかったと思います。不安だったと思います。しかし誰も予想していなかったであろうこのハプニングによって、センターステージでパフォーマンスする9期〜11期メンバーを、道重さんが後ろから見守る形になりました。その眼差しはまるで、育ててきた雛が巣立つのを見守る親鳥のようで、「立派に大人になったのだから、さあ怖がらずに飛びなさい」と言っているかのように見えました(実際そういう演出だと思ってた笑)。それに応えるように、見つめる先の後輩たちは1人抜けたフォーメーションを修正しながら『ワクテカ Take a chance(updated)』『ブレインストーミング(updated)』を完璧に踊ってみせました。何度も言いますが演出だと思っていたので、その場でフォーメーションを修正していたと知った時は驚きました。それ程、違和感の無い完璧な出来だったから。そしてそれは、道重さんが卒業した後の娘。の姿でもありました。頼もしく成長した後輩たちを目の当たりにして、これからの娘。も大丈夫だと、そう確信したのは私だけではないはずです。そして語り継がれるであろう名場面も生まれましたね。『ブレインストーミング』の終盤で、道重さんと2人で『好きだな君が』を歌う為にメインステージまで全力疾走したフクちゃん。「フクムラダッシュ」として浸透しつつありますが、誰もがフクちゃんを次期リーダーとして認めた瞬間だったと思います。またフクちゃんが抜けても一糸乱れぬダンスをしてみせた残りのメンバーに、大きな拍手を送りたいです。

 メドレーの最後を飾ったのは『Give me 愛』。コンサートツアータイトルが「GIVE ME MORE LOVE」だったので、歌ってくれるのをずっと期待していました。9/23に行われた名古屋夜公演ではAパターンのメドレーだったため、てっきりセットリストに入ってないのかと思っていたので(というか3パターンあることを知らなかった)イントロが流れた時痺れましたね。『青春コレクション』で捌けた後、『LOVEマシーン』でステージへ戻ってきて、中央の階段に座ってパフォーマンスを続けた道重さん。『Give me 愛』では、道重さんの悔しそうな表情や涙を堪えながら歌うメンバーの声がすごく切なくて、でも聴けないと思っていた曲が聴けたことが嬉しくて、色んな気持ちで胸がいっぱいになりました。20分を超えたこのメドレー。体力的にも精神的にも本当に頑張ったなと思うし、メンバーの成長を感じられたものすごく濃い20分でした。

 メドレーが終わるといよいよラストスパート。道重さんが娘。として初めて参加したシングル『シャボン玉』、道重さんがリーダーになって初めてのシングル『One・Two・Three』、そして『Password is 0』『Be Alive』を披露し、コンサート本編を締めくくります。『シャボン玉』といえば道重さんの叫び、という気がしますが、お蔵入りにせず是非現メンで歌い継いでいって欲しいです。どのメンバーも声量が上がって、迫力ある歌い方を物にしていて感心しました。『One・Two・Three』では、鞘師ちゃんが高音のフェイクを無理なく歌えていて格好良かったです。エースだからこそ色々言われる鞘師ちゃんですが、確実に歌がレベルアップしているし、あれだけ踊りながら多くの歌割をしっかりこなせるスタミナを持った鞘師ちゃんは、やっぱりエースなんだと思いました。コンサート終盤で体力もかなり消耗しているであろうところに、容赦ない振付の『Password is 0』がきた時には、流石に鬼だなと思いました。きっついセトリ組んだもんだなと。道重さんがジャンプする度に、「足大丈夫かな」と祈るような気持ちで見ていました。本編最後の曲『Be Alive』を歌う前のMCで、「お送りしてきました、GIVE ME MORE LOVE…」と声を詰まらせて泣く道重さんを見て鼻の奥がツンとしたのを覚えています。悲しいのでもなく、卒業が寂しいのでもなく、悔しくて泣いている。それがすごく伝わってきました。この曲では、声を震わせて歌うさくらちゃんと、直後に覚悟を決めたような表情で歌う鞘師ちゃんが対照的ですごく印象に残りました。さくらちゃんは加入当初から歌もダンスも安定して上手で、新人と思えない程堂々としていたけれど、このコンサートで初めてさくらちゃんの末っ子らしいところが見れたというか。やっぱり15歳の女の子なんだなと思いました。

 コンサート本編が終了すると、会場全体がピンクのサイリウムさゆみんコールに包まれます。アンコールでは9期~11期、そして12期メンバーも加わり、道重さんへ送る楽曲、『見返り美人』を披露。着物姿の道重さんは本当に美しくて、でも今にも消えてしまいそうな、もう本当に会えないような、異次元の輝きを放っていました。メンバー1人1人から道重さんへ感謝のメッセージが伝えられる場面では、道重さんと後輩たちが、なんだか先生と生徒のように見えました。自分たちを導いてくれた人がいなくなる。そのことに不安はあるけれど、頑張っていくよ。だから見ていてね。という決意表明の時間だったと思います。特に新リーダーとなるフクちゃんの言葉は胸を打つものがありました。「聖の特別で幸せな瞬間は道重さんと隣にいるときです」この言葉を聞いて、最後の「さゆみずき」となった、この日の『好きだな君が』を思い出して涙した人は少なくないんじゃないかな、と思います。娘。を引っ張っていくことに不安はあるけど、娘。を好きな気持ちは負けない。そう話したフクちゃんはもう立派にリーダーの顔つきになっていました。

 

 卒業セレモニーの後、沢山の花をあしらったドレスを身にまとい、道重さんがステージに登場しました。そのあまりの可憐さにLV会場でも歓声があがっていました。お姫様みたいでしたよ、ほんとに。ここで道重さんからファンへのメッセージが伝えられます。今までの娘。の卒業コンサートでは、卒業メンバーが用意してきた手紙を読むのがお決まりでした。しかし道重さんはマイクひとつでステージへ立ち、8分にも及ぶスピーチをしてみせたのです。まるで映画のワンシーンでも見ているかのような、そんな錯覚に陥る程、完成された非の打ちどころのないスピーチでした。きっとアイドル史に残る名スピーチとして語り継がれるに違いありません。ハロ!ステ#95でその映像が公開されたので貼っておきます。私が上手くもない文章でぐだぐだ書くよりもずっと伝わるはずなので。(道重さんのスピーチは10:11~)


道重卒業公演、スマイレージOA、ベリセレ、J=J JOL原宿、MC:徳永千奈美・小田さくら【ハロ ...

 「変な人たち、サンキュー」という名言も飛び出したスピーチからの『赤いフリージア』で会場の盛り上がりは最高潮に達しました。芸能界に興味もない、歌もダンスもやりたいわけじゃない、ただモーニング娘。が好きでオーディションを受けた道重さんにとって、この曲は人生の始まりの曲。あの「さゆーじあ」をリアルタイムで知っているわけではありませんが、道重さん本人にとっても当時からのファンにとっても思い入れの深い曲であることは容易に想像がつきました。楽曲の素晴らしさもさることながら、その世界観を見事に表現し歌い切った道重さんに、アイドルとして生きてきた12年の歳月を感じました。メンバーと合流した後は、updated版でなく原曲通りの『歩いてる』を披露。そして多幸感溢れる『Happy大作戦』で次期リーダーフクちゃんとバトンタッチし、10人最後のパフォーマンスに幕を下ろしました。

  メンバーがステージから去った後、スクリーンにはエンディング映像が流れました。内容はオープニング映像とリンクしたもので、本を読んでいる道重さんの周りに集まった後輩たちが1人また1人と手を振って去っていき、最後は道重さん自身も立ち去るというもの(今思ったけど本じゃなくてアルバムな気がしてきた)。そして映像のラストでは、道重さんの娘。在籍期間「4329days 2003.01.19〜2014.11.26」の文字が刻まれた本の表紙が映し出され、盛大な拍手と歓声が起こりました。この瞬間、道重さんは約12年間のモーニング娘。人生に終止符を打ったのでした。

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 ちょっと話が変わりますが、夏のハロコンで、スマイレージ、Juice=Juiceが合同で娘。の『Help me!!』をパフォーマンスしたんですね。正直歌もダンスも娘。メンより上手な子がごろごろいたんですよ。でもこの日の10人を見て、娘。はこの子たちでなきゃ、そう思いました。道重さんが娘。を卒業したこの日、9期以降のメンバーも卒業したのだと思います。道重さんという大きな存在から。ここからリミッターが解除されて面白くなっていけるかどうかは、残されたメンバーにかかっていると思います。

 1つの時代が終わってしまったようなそんな気さえしますが、新しい娘。を見守っていきたいと思います。メンバーから見える、景色の一部として。